細菌が口の中で食べかすから酸を作り、その酸で歯が溶けると考えられています。
今では以下の条件がそろった場合に虫歯になると考えられています。
(1)虫歯になりやすい歯の質、噛み合わせ、歯並びである。
(2)虫歯菌が盛んに活動をしている。
(3)歯につきやすい糖質をよく摂取している。
(4)長時間、プラーク(歯垢)が歯に付着したままになっている。
子どもの虫歯は5歳頃と15歳頃にできやすと言われています。
5歳頃は乳歯、15歳頃は永久歯の虫歯の急増時期にあたります。
子どもに虫歯ができやすい理由には、以下の5つの要因が考えられます。
(1)歯の石灰化が弱く、虫歯に対する抵抗性が低い。
(2)軟らかい食べ物が多いために、歯につきやすく、菌が繁殖しやすい。
(3)歯磨きが十分できない。
(4)睡眠時間が長いため、唾液による自浄作用が行われる時間が短い。
(5)虫歯ができても痛みを感じにくく、早期発見が遅れる。
口の中には、たくさんの常在菌が存在しています。
常在菌が少ない人で120種、多い人では350種以上といわれています。
歯の表面に付着している虫歯菌に糖質がつくと、菌体内多糖というベタベタしたものを作りだし、繁殖を始めます。
この状態をプラーク(歯垢)といいます。
プラークができると、食べ物の中に含まれる糖質を発酵させ、プラークの内部で酸をつくります。
この酸が歯の成分であるカルシウムやリンを溶かし、虫歯が発生します。
砂糖は、虫歯に大きく関係しています。
戦争によって、砂糖が手に入りにくかった時代は、虫歯の子どもが少なく、砂糖の消費量が増えるにつれて、虫歯の子どもが増加しました。
また、間食として砂糖を飲食することが、虫歯になりやすい環境を作ります。
甘味料としてよく使われている砂糖の主成分「ショ糖(スクロース)」には、虫歯の原因になるという欠点があります。
ショ糖は、口のなかで酸や歯垢ができるもとになっています。
虫歯になったといっても、急に歯に穴があくわけではありません。
ただし、歯の表面にプラーク(歯垢)をつけたままにしておくと、虫歯の原因菌であるミュータンス菌がつくり出す酸によって、エナメル質の中から歯の成分であるカルシウムやリンが溶けて、エナメル質内部がスカスカの状態になってしまいます。
このような虫歯になる手前の状態を『初期虫歯』と言います。
「脱灰」とは、歯のカルシウムやリンが溶け出す状態のことです。
これは、飲食をするとプラーク(歯垢)中の細菌が酸を作ることで起こります。
しかし時間がたつと、唾液の力で細菌がつくった酸を「中和する作用」や「洗い流す作用」により、溶け出たカルシウムやリンが歯の表面に戻ります。
これを「再石灰化」といいます。