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歯が再利用できる時代

▼再生医療はここまできている

再生医療とは…
髪の毛や皮膚などにある細胞から、神経や骨などを人工的に作り出し、人の組織を修復する治療方法のこと

IPS細胞やES細胞は1度は聞いたことがあるのではないでしょうか。これらは万能細胞と呼ばれております。
身体の組織を分化することができるため、新たに組織を形成しなおし、失われた歯も作りだすことができると言われています。

▼抜けてしまった歯には驚くべき力があった

幼いころ、抜けてしまった乳歯は、床下や屋根の上に投げていた方も多かったのではないでしょうか。

また、親知らずを抜歯した後は、記念に持ち帰りした方も多いと思います。
この抜けてしまった乳歯や、抜歯した親知らずには、歯髄細胞という非常に良質な幹細胞が含まれています。

幹細胞とは…
分裂して同じ細胞を作る能力と、別の種類の細胞に分化する能力を持ち、際限なく増殖できる細胞のこと

乳歯や親知らずにある幹細胞は、硬い歯に守られているため損傷が少なく、新鮮な状態を保つことができる上、増殖能力が高く、短期間でたくさん作り出すことができます。

さらにIPS細胞は、皮膚より乳歯や親知らずの方が、より効率よく採取できることも判明してきました。

歯髄細胞から作られたIPS細胞は、日本人の移植に適した型を20%の割合で持つとも言われており、大きな期待が寄せられています。

▼歯の保存は、歯の銀行へ

抜けてしまった歯は、放置しておくと腐ります。歯髄細胞を生かすには、抜けた状態で保存しておく必要があります。

そこで、CAS(Cells Alive System)という冷凍技術を用い、ティースバンク(歯の銀行)で20年から最長40年もの間、冷凍保存しておくことができます。

ティースバンク(歯の銀行)とは…
抜けた歯を将来的に移植するために、冷凍保存を行う機関のこと

抜けた歯の歯根膜が残っていれば、事故や老化で歯を失った際など、保存した歯を再生することができます。

また、歯だけではなく、神経性の病気や、骨、軟骨などの修復にも対応できます。

抜去歯の冷凍保存の流れ

抜歯した歯(抜去歯)は、液体チッソ中で半永久的に冷凍保存されます。

再生医療研究所と連携している歯医者を探す

冷凍保存ができる条件は、下記の通りです。

●歯の銀行で保存できるのは「健康な歯」のみ

●かなりの時間が経過してしまった歯、大きな虫歯や歯周病がある歯は、保存することができない

●糖尿病や肝臓病、骨形成不全、骨粗鬆症などの方も利用できない場合がある

抜去歯を再生医療研究所へ届ける

抜去歯を当日中(遅くとも24時間以内)に再生医療研究所まで届けます。
冷蔵状態で、歯を傷つけないように運びます。

実体顕微鏡で歯の検鏡と画像の保存

歯根膜等の状態を検査し、歯のデジタル画像を記録しておきます。

クリーンルームで抜去歯を処理

クリーン度の高いクリーンベンチで、抜去歯を適切に前処理します。

クリーンベンチとは…
細胞や微生物を取り扱う際に、埃や雑菌の混入
(コンタミネーション)を防ぎ、無菌状態で作業するための装置のこと

抜去歯を冷凍保存

抜去歯は、完全密封型の特殊プラスチック容器に封入します。
その後、CASという冷凍技術で、-196℃の液体チッソの入ったタンクの中で、抜去歯を半永久的に保存します。

歯の保存IDカードの発行

冷凍保存した歯の情報は、データで一元管理します。

発行された「歯の保存IDカード」は、必要なときがくるまで、大切に保管してください。

▼必要な費用

歯を冷凍保存している再生医療研究所は、全国にいくつかあります。
下記は神奈川県を参考にしています。費用はあくまで目安としてください。

ティースバンク(歯の銀行)に必要な費用

■血液検査
…¥30,000
■歯の検査費用
…¥40,000/本
■画像撮影料およびデータ保存料
…¥8,000
■容器や保存処置料など
…¥10,000
■輸送費
…神奈川県内で¥5,000、県外は¥33,500
■10年間の冷凍保存
…¥90,000/本
■保存期間の延長(年間)
…¥3,000/本

別途、歯の保存IDカード発行料と歯の冷凍保存に関する相談料が必要
(抜歯の治療費や移植・再生医療にかかる医療費は含まれていません)

県内の方で、10年保管の合計は、およそ¥200,000/本
※保険適用外です

▼まとめ

抜去歯の冷凍保存は、以前から行われており、歯を移植する技術は、すでに使われるようになりました。

今後は、再生医療による失われた箇所の修復も、時間の問題と思われます。

将来のことを考えて、抜去歯を保存しておく考え方を、見直さなければならないかもしれません。

一般的には、まだまだ浸透してはいませんし、費用を考えてしまうと、簡単なことではありません。

しかし、歯を再利用することが当たり前となり、高齢になっても健康な歯でいられる時代は、すぐそこまで来ているのかもしれません。